社長と一緒に“黒字を継続すること”を真剣に考える会計事務所

情報ページ

  • HOME »
  • 情報ページ
文書作成日:2025/03/25
取得費加算の特例を相続した暗号資産の売却に適用できるかどうか

[相談]

 昨年、私の父が他界し、私を含めた相続人は相続税の申告期限内にその申告と相続税の納付をそれぞれ行いました。
 さて、今年に入り、私は父から相続した暗号資産(いわゆる仮想通貨)を売却し、利益を得ています。
 その利益については所得税の課税対象になると思うのですが、その申告について、所得税法上の「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(いわゆる取得費加算の特例)」の規定を適用できるかどうかについて教えてください。

[回答]

 ご相談の特例は、所得税法上の「譲渡所得」の特例であり、相続した暗号資産の売却により生じた利益については、その所得区分が譲渡所得には該当しないことから適用できないこととなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算の特例)の概要

 所得税法上、相続又は遺贈(死因贈与を含みます)による財産の取得(一定の規定により相続又は遺贈による財産の取得とみなされるものを含みます)をした個人でその相続又は遺贈につき相続税額があるものが、その相続の開始があった日の翌日からその相続に係る相続税申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間にその相続税額に係る課税価格(一定の場合には、その課税価格とみなされた金額)の計算の基礎に算入された資産の譲渡(譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含みます)をした場合における譲渡所得に係る所得税法の規定の適用については、その譲渡所得に係る取得費は、その取得費に相当する金額にその相続税額のうちその譲渡をした資産に対応する部分として一定の方法により計算した金額を加算した金額とすると定められています(いわゆる取得費加算の特例)。

2.暗号資産取引により生じた利益の所得税法上の所得区分

 所得税法上、暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されることとされています。

 ただし、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合には、次の所得に区分されることとされています。

  • 暗号資産取引に係る帳簿書類の保存がある場合:原則として、事業所得
  • 暗号資産取引に係る帳簿書類の保存がない場合:原則として、雑所得(業務に係る雑所得)

 まとめますと、暗号資産取引により生じた利益にかかる所得税法上の所得区分は、@事業所得、A雑所得(業務に係る雑所得)、B雑所得(その他雑所得)のいずれかに該当することとなります。

 今回のご相談の特例(上記1.の特例)は、上記のとおり所得税法上の「譲渡所得」の特例ですので、相続した暗号資産の売却により生じた利益については、その所得区分が譲渡所得には該当しないことから、上記1.の特例は適用できないこととなります。

[参考]
所法33、措法39、国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和6年12月20日)」など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

お問い合わせ電話番号 TEL 03-3504-2117 受付時間 平日10:00 - 17:00

今すぐ資金繰りを改善したい
社長さまへ

黒字継続必達会のご案内

営業せずに1年で黒字化するための6つの条件と18の打ち手とは? 黒字継続必達会について

無料小冊子

“数値”を使いこなして会社を黒字体質にする方法

詳しくはこちらへ

無料メールマガジン

黒字を継続して資金繰りの悩みから解放される

「手許に現金がなく、何もできない・・・」とお悩みの社長様に、黒字を継続して資金繰りの悩みから解放されるための経営ノウハウ・税務情報等をお届けします。


QRコード
モバイルでご覧の方はこちらのQRコードをご利用ください
黒字継続のための情報ページ:最新の情報を発信しています

Facebook Likes

PAGETOP
Copyright © 2018 高橋公認会計士・税理士事務所 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.